成功と失敗の狭間に横たわる2つのマネジメント@デブサミ2014(DevelopersSummit2014)
2/13(木)、14(火) に目黒の雅叙園で開催された「Developers Summit 2014」の参加レポート#5です。
成功と失敗の狭間に横たわる2つのマネジメント(中村 洋 〔DevLOVE関西〕)
DevLove関西で活動されている中村さん(@yohhatu)による、「期待」と「モチベーション」のマネジメントについてのお話。
DevLove関西
開発(Dev)を愛する(Love)人の集まりで2つのコンセプトを持っている
- 開発の楽しさを発見しよう。広げよう。
- 開発の現場を前進させよう。
素晴らしいコンセプトです。一休の現場も「楽しさ」を持って「前進」させていきたいです。
アジェンダ
- 期待のマネジメント
- モチベーションのマネジメント
なぜ、今この話をするのかというと、日々変化しているビジネス環境の中で「今までのやり方」ではなく「もっとうまいやり方」があるのではないか、という課題発見の糸口になると考えているから。経験値がある人がすべて知っているわけではないので、メンバーが考える土壌を作ることが大事。
期待をマネジメントする
関係者がお互いに持っている期待を明らかにし、適切に調整する
「ここまでやってくれる」という期待
- お互い話し合っているか
- お互い同じ思いか
- お互い確認しているか
ここまで確認しあっているケースはほとんどないのではないか。
ドラッカー風エクササイズ(from アジャイルサムライ)
- 自分は何が得意なのか
- プログラミング、テスト、積極性などの自分の武器
- 強みを生むためにアプローチを変える
- 自分はどうやって貢献するつもりか
- 「テストで貢献する」ではあまりにも直線的
- 「テストコードを書いて品質向上・コスト削減をして貢献する」とかの具体性が必要
- そのためにはゴールを理解する必要がある
- 自分が大切に思う価値は何か
- 家族、お金、キャリアとかコードとかのこだわり
- チームメンバーは自分にどんな成果を期待していると思うか
- 関係者全員でお互いの期待を表明して、摺り合わせる
- 期待は時間の経過とともに変わっていくものなので、定期的に摺り合わせていかないと徐々にずれていく
事例① 顧客との期待マネジメント
- 制約が多かった
- 信頼貯金があった(以前に同様のメンバーで成功していた)
- 良い意味でお互いに線を引いた
- 「ここまでは自分たちでやるので、安心してこっちをやって欲しい」
相手の立場で考える事が大切
事例② 上司・チームとの期待マネジメント
- シンプルな期待
- ボスがうまく表現してくれていた
- やっていることではなく、どう貢献できるか
- どう貢献できたかをお互いに知ることが大事
事例③ 組織との期待マネジメント
- 「言わなくてもわかってくれる」はありえない
- 計測できるもので見せる必要がある
「お互いの期待をしっかり共有して定期的に摺合せを行う」というレベルでは実施出来ておらず、それが原因でプロジェクトの出足が遅れたり、目的の共有不足で手戻りが発生したりということが発生しているのだと思いました。
アジャイルのインセプションデッキではありませんが、「我々はなぜ、ここにいるのか」という会社のミッション・プロジェクトのミッションの共有をすっ飛ばして、いきなり案件内容(仕様とか、スケジュールとか)に入ってしまうのでメンバーはなかなか「そもそもの目的の理解」まで考えられていないのでは無いかと思います。
上記の問いは「プロジェクトの中での与えたい役割」や「メンバーの意識を統一する」など、色々な意味を含んでいる重要な問いなのではないかと思います。
モチベーションをマネジメントする
関係者のやる気を安定して目標に向かうようにする
モチベーションの特性
- 何気ない一言で乱高下するセンシティブなもの
- 人によって鍵穴は全然違う
- 他人がその鍵を持っているわけではない
- モチベーションをマネジメントするのは自分自身である
- モチベーションが成長しやすい土壌を作ることが大切
@yohhatuさんが気をつけていること
- 自分の調子と相談して、無理なときは諦める
- 日によってパフォーマンスは違うが、良いプレーヤーほど不調な時期が短い
- 調子を上げるスイッチを見つけておき、スイッチの存在を本人に気づかせてあげる
- 褒めるのではなく、一緒に喜ぶ(これ、超大事)
- 先にある光景を一緒に見に行く、語る(共感する)
- サーヴァントリーダーシップ(トップダウンではなく現場発信で業務を推し進められるように促す)
事例①
- 若手とのプロジェクト反省会でGoodを出しまくった @yohhatuさんの実体験に基づいたお話で、「若いころは承認欲求(貢献できていることを感じたい)が大きなモチベーションだった」とのこと。成功体験が少ない若手に対しては「数多く打席に入る」ということが大事。経験を積ませることでモチベーションをコントロールする。 打席に数多く入る
事例②
- 指示待ちが多かった
- やることは自分で考える
- 前のめりでの失敗はOK
- 「少しだけ」やってみる
- やると決めたら、「やめる」という行為は自分へのストレスになる
事例③
- 顧客の顔が見えない
- チームが離散するストレス
※この事例③はしっかりとメモを取れなかったのですが、「上手く行かなかった事例」として紹介されていたように記憶しています。スミマセン。。。ご指摘をいただければ、改訂しますので、コメントください。
まとめ
期待をマネジメントする
- 関係者がお互いに持っている期待を明らかにし、適切に調整する
モチベーションをマネジメントする
- 関係者のやる気を安定して目標に向かうようにする
みなさんのActionは?
Action1
- まずは周囲への期待を明らかにしてみる
- 周囲からの期待を聞いてみる
Action2
- 自分を含めたメンバーそれぞれのモチベーションの源泉を考えてみる
@yohhatuさんのStory
- 少しでも現場を良くしたい、前進させたい
所感
@yohhatu さんによるエモいセッションでした。「期待のマネジメント」って伝え方や進め方を誤ると偉そうな表現になってしまったり、逆にモチベーションを低下させてしまったりと、簡単そうで難しいものだと改めて感じました。
一休では、「明確にXXを期待している」みたいな話ってあまりしていなくて、社員・パートナーに関わらず「指示待ち」みたいな傾向があるメンバーもいると思っています。「自分でやる」と決めた仕事の方が「決められた」仕事よりも意欲的に取り組むのは間違いないし、その方が成果が出やすいと思うので、もう少し自分で発信しやすい文化を醸成していくことが必要なんだと感じました。
直近で開発現場改善のプロジェクトを進めているので、自分が相手に期待していることとメンバーがやりたいことを摺合せながら、改善活動を進めていこう、そう強く思ったセッションでした。