YAPC::Asia 2015 に行ってきた
8/20(木)~22(土) に東京ビックサイトで開催された YAPC::Asia 2015 に行ってきました。3日でかなり多くのセッションがあったのですが、印象に残ったセッションをチョイスして技忘録。
セッションの内容は こちら
Consulと自作OSSを活用した100台規模のWebサービス運用
カヤック藤原さんによる、Consulを使ったサービス運用のお話。
正直、「Consulって何ができるんだろ」って思ってたのですが
- サービス監視(service discovery)
- ヘルスチェック(health checking)
- KVS(key value store)
など、サービス運用を自動化するための多くの機能があって、持っている機能をつかって何をするかは各サービスが抱えている課題次第でいかようにも、という印象でした。
カヤックでは
ということで、Consulを使って内部DNSとして振る舞うようにした話や、ConsulをChefやStretcherといった他ツールと連携してオートスケールを実現している、というお話でした。
特にStretcherについては、pull型のオートデプロイを実現するツールで
- ビルドしたアプリケーションをtar.gzで固めてS3に配置
- manifestファイル(手順書的な)も一緒にS3に
というお膳立てをした上で、Stretcherがmanifestファイルに書かれた手順でデプロイするという内容(だった...と思う)でした。
一休では、デプロイはpush型で実施しているし、自動化した後もしばらくはpushかなと思っていたので、ちょうど良いタイミングでモダンな事例を知ることができて、「試してみたい」と思う内容でした。
consulのサイトを見てみたのですが、Go製ツールらしくWindowsも普通に動きそうな感じで、しかも.net用のAPIも提供しているようで、マルチプラットフォームでの動作を考慮していることが見て取れました。
一旦、いまのデプロイフロー変更が一区切りついたタイミングで検証してみたいと思います。
Perlの上にも三年 〜 ずっとイケてるサービスを作り続ける技術
はてなのhitodeくんさんによる、Perlではてなのサービスを作り続けている話。 このお話が、ベストトーク賞No.1に選ばれました。
といった、Webサービスのトレンドを追い続けた変遷を赤裸々に語っていました。
また
- 用語集をmarkdownで管理して新メンバーへの教育に使う
- ユビキタス言語はエンジニアだけでなく、サービスに関わる全員で共有する
など、どの現場でも参考になるお話もありました。
スライドも作りがとても良くて、ツラいこともたくさんあったと思いますが、前進を続けるサービス開発のお話をとても楽しく聞かせていただきました。
ちょうど一休で実施しているアーキテクチャ変更に通じる部分があって、とても参考になったというか、マインドの部分で見習う面もあり、刺激になりました。
HTTP/2 時代のWeb
mozaic.fm で有名なJxckさんによるHTTP/2についてのお話。 個人的には、このセッションが一番良かったです。
RFCが策定されたHTTP/2について、現状の整理とこれからをとてもわかりやすくお話されていて、興味深く聞いていました。
- HTTP1.1環境下での高速化ノウハウは制限の中でうまれたバッドノウハウ
- CSS Sprite、minifyして圧縮といった内容はとにかくリクエスト回数とサイズを少なくするための苦肉の策で、良い解決策ではない
- HTTP/2で採用されているストリーム多重化や普及への道についての解説
といったHTTP/2導入後のWebの未来を予測するような、素晴らしい発表でした。 HTTP/2を採用すれば、単純に速くなるという代物ではないし、いきなりサービスに組み込んでいくのはハードルが高いですが、採用しているアプライアンスやミドルウェアの対応状況を見つつ、理解を深めて検証しておく、くらいの準備は必要だと感じました。
所感
今回は前回の慶応大学日吉キャンパスからビックサイトに場所を変えたYAPC::Asiaでしたが、変わらずに楽しむことができました。参加人数が2,000人を超える、国内ではかなり大規模なこのエンジニアのお祭りをオーガナイズした運営の方々に心から御礼申し上げます。楽しいイベントをありがとうございました!
発表内容を聞いていて思ったのは
- 去年よりも、自分たちに置き換えて考えられることが多くなっている気がする
ということですね。去年は「こういう世界もあるんですね〜〜」と、ある意味異世界のように感じていたことも多かったのですが、今年は「あぁ、それはありますよね」とか「それは一休でも活用できそう」「同じ課題に当たりそうなので、アクションを検討したい」といった風に身近に感じることが多くて、ちょっとは前進しているのかなと思いました。
1つだけ、思ったことはクローズドキーノートでのmakiさんのお話がちょっと事務的だったこと。去年はyusukebeさんの事務的な報告以外でtypesterさんがとっても良いお話をされていたので、今年もクローズドキーノートは期待していたのですが、本当に事務的なカタチで終了してしまったのが残念でした。
来年以降でYAPCが開催されることがあれば、また参加したいと思います。