WWDCに行ってきた(セッションまとめ編)
6/8(月)~12(金)の5日間、アメリカのサンフランシスコで行われたAppleの開発者向けカンファレンス「WWDC (World Wide Developer Conference)」に参加してきました。今回、運良く参加することが出来たので
- セッション内容
- 自分が得た知見
について技忘録。今回はセッション編です。
セッション内容
MacOS X El Capitan
それほど、大きい変更は加えられず、細かい修正点の集合という印象です。
など、デフォルトアプリケーションを重用しているユーザにとっては、タブのピン止めやSpotlight強化などの「かゆいところに手が届く」機能アップデートが加えられていると感じました。
正直、使ってみないとなんとも、というところですね。週末にでも自分のMBAに入れて試してみようかなと思います。
iOS 9
初日のPlatforms State of the Unionというセッションで大体の概要が発表されています。
APIの変更は結構激しい模様
自分はiOS開発者ではないので、こちらも使ってみないと、なところではあるのですが、「iOS9向けにどうやって開発するの」的なセッションを聞いたときに各iOSバージョン毎に「アノテーションをうまく使ってコードをキレイにしましょう」的なことを言っていた気がするので、結構考慮しなければいけないところが出てくるのでは、と感じました。
DeepLinkingは良さそう
自分自身が昨年末にAndroidからiOSに乗り換えて感じたことですが、「Androidのインテント機能は結構良かった」と思っていました。アプリ感での連携について、DeepLinkingで強化されるので、ユーザにとってはストレスが軽減されそうです。レストランアプリなどはDeepLinkingの仕様を提携先?に公開すれば、スマホ系広告・提携先からの流入時にレストランアプリを起動するみたいなことができるようになりそうです。早く試してみたい機能ですね。
iPad Multi Tasking
Demoを見る限り良さそうです。しかもアプリ側での考慮はいらないっぽいので、これも早く試してみたいと思いました。iPad持ってないので、購入を検討中です。
AppThinning / BitCode / AppSlicing / OnDemandResources
どういう仕組みなのか、よくわかってない部分もありますが
- デバイスに最適化して必要な資材のみをダウンロードする
- 初期ダウンロードを早くするために、アプリ起動後の任意のタイミングで追加資材を取得する
といった変更を加える事で、サイズの大きいアプリ(主にはゲーム?)のダウンロードスピードを上げる施策です。WatchOS向けのアプリではこの考慮が必須になるようなので、今後のスタンダードになると思います。
WatchOS 2
AppleWatchネイティブアプリが開発できるようになった。各種センサーやHealthKitなどをサポートしたことで、開発者はいろいろできるようになったと言えます。どんなアプリが出てくるのかはわかりませんが、ここから新しいビジネスが生まれる可能性も大いにあると思います。
Apple Music
残念の一言。秋の新製品の発表時にすればよかったのに。。まぁ、早くやりたかったのだと思います。開発者向けのニュースというよりはサービスの発表だったので、割愛。
ほか
あまり、大きくは取り上げられていませんが個人的にはCloudKit JSとMapKitにちょっと興味を引かれました。
CloudKit JS
iCloudへのアクセスをJSで行える≒Webアプリケーションで使えるということで、CDNなどに使えるようで、しかもコストは安いとセッションで言ってました。興味ある方はセッションビデオ見てみてください。
MapKit
MapはGoogleという見方が以前強いですが、どんなアプローチをしてくるのかが興味を引きました。その中では、Flyoverという3Dっぽいモードと、Transit(乗り換え)という2つのポイントでMap機能の強化を図るという意図が見えました。GoogleMapでいうところのStreetViewっぽい機能もこれから実装するというウワサもあるようですし、AppleのMapについての本気度が伺えました。こちらもセッションビデオが上がってるので興味ある方はどうぞ。 Transitについては、日本が未サポートなのが残念です。
所感
冒頭にも書いたように、今回のWWDCは大きなサプライズはそれほど多くはなく、堅実なアップデートをしてきたという印象でした。その中でSwiftのOSS化やWatchKitなどについて、ネイティブ畑のエンジニアにとってはキャッチアップをし続けつつ、新しいビジネスチャンスを見つけることができるのでは、と感じました。特にSwiftについては、OSS+MultiPlatform化によってLinux上でも動くので、ちょっとしたスクリプトをSwiftで書く、みたいなことがこれから起こる可能性もあるのかな、と思って聞いてました。
現地のmeetupでも早速WatchKit向けのハッカソンイベントがWWDCが終わった週末に開催されたりと、この変化を楽しむ環境がしっかり作られていると思いました。いきなりハッカソンだとちょっと敷居が高いかもしれないので、「WatchKitで何ができるのか」をドキュメントを読みつつ、アイデアソンみたいなカタチでWatchOS向けアプリを考えるというイベントも楽しい気がします。
今回、いろんな幸運が重なって、この大きなイベントに参加することができて、いろいろな知見を得ました。サンフランシスコのITサービスを使ってみたり、現地のエンジニアや日本から来ているエンジニアと交流したり、現地のmeetupに参加したり、という経験は技術者として大きな財産になると思いました。一休でも、会社として海外のカンファレンスに年1~2名は常時参加して、この経験を得ながら、新しいサービスを考えたり、既存サービスにフィードバックするみたいなループができると良いと感じました。
今回、参加を許可してくれた会社、チームのメンバーには本当に感謝しています。また継続的に成果を出して、次回は別のメンバーが参加できると良いなと思います。
次回は体験記的なカタチで現地で得た知見やWWDC Tipsについて書きたいと思います。